トピックス

研究成果「黒潮における見えない生物生産力の仕組みを発見」

鹿児島大学水産学部准教授 小針統ほか

黒潮はホントに海の砂漠?

東シナ海およびトカラ海域における黒潮の流向・流速(矢印).背景のコンターは水深を示す.

鹿児島大学水産学部の小針統准教授(水圏科学分野)らの研究グループは、海洋観測と洋上実験により、これまで知られていなかった「黒潮における見えない生物生産の仕組み」を明らかにしました。黒潮の強い流れで発生した乱流が表層への栄養塩を供給し、これによって植物プランクトンが速やかに成長するものの、微小な動物プランクトンによって消費されてしまうことを発見しました。貧栄養な黒潮で回遊性魚類が多く漁獲される謎とされていた「黒潮パラドックス」を解く鍵の1つであると考えられます。この研究成果は、欧州科学誌バイオジェオサイエンシーズのオンライン版に5月6日に掲載されました。

小針准教授らの共同研究グループは、練習船を駆使した海洋観測から九州南方海域では黒潮の強い流れによって強大な乱流が発生する海域であることを発見し、この乱流が表層へ多くの栄養塩を供給していることが分かりました。また、黒潮から採取した海水に乱流による供給量と同程度の栄養塩を加えて洋上で培養実験を行ったところ、植物プランクトンは速やかに増殖するものの、植物プランクトンの増殖分はすぐに微小な動物プランクトンに食べられてしまうことも分かりました。これまで、貧栄養でプランクトン量が少ないため黒潮は海の砂漠と考えられてきましたが、生産と消費が釣り合っているためにプランクトンが残存しないだけで、より大型の動物プランクトンや魚類にエネルギーが転送されているはずと考えています。また、この見えない生物生産の仕組みは、黒潮が豊穣の海であるというパラダイムシフトに繋がるかもしれないと述べています。本研究は、東北区水産研究所・愛媛大学・東京大学・九州大学・東京海洋大学・北海道大学との共同研究として実施され、本研究は日本学術振興会の研究助成を受けました。

鹿児島大学ホームページからも紹介されています]


Toru Kobari, Taiga Honma, Daisuke Hasegawa, Naoki Yoshie, Eisuke Tsutsumi, Takeshi Matsuno, Takeyoshi Nagai, Takeru Kanayama, Fukutaro Karu, Koji Suzuki, Takahiro Tanaka, Xinyu Guo, Gen Kume, Ayako Nishina and Hirohiko Nakamura (2020)

Phytoplankton growth and consumption by microzooplankton stimulated by turbulent nitrate flux suggest rapid trophic transfer in the oligotrophic Kuroshio. Biogeosciences, 17: 2441-2452,

HP: Biogeosciences

The Kuroshio Current has been thought to be biologically unproductive because of its oligotrophic conditions and low plankton standing stocks. Even though vulnerable life stages of major foraging fishes risk being entrapped by frontal eddies and meanders and encountering low food availability, they have life cycle strategies that include growing and recruiting around the Kuroshio Current. Here we report that phytoplankton growth and consumption by microzooplankton are stimulated by turbulent nitrate flux amplified by the Kuroshio Current. Oceanographic observations demonstrate that the Kuroshio Current topographically enhances significant turbulent mixing and nitrate influx to the euphotic zone. Graduated nutrient enrichment experiments show that growth rates of phytoplankton and microheterotroph communities were stimulated within the range of the turbulent nitrate flux. Results of dilution experiments imply significant microzooplankton grazing on phytoplankton. We propose that these rapid and systematic trophodynamics enhance biological productivity in the Kuroshio.

ドキュメンタリー作品「ダイオウイカ大解剖」が第61回科学技術映像祭において優秀賞を受賞しました
ダイオウイカ大解剖 映画・ビデオ:50分

昨年、本学およびかごしま水族館で上映会を開催しましたドキュメンタリー映像作品「ダイオウイカ大解剖 巨大生物 進化の謎」が第61回科学技術映像祭において教育・教養部門優秀賞を受賞しました。

この映像祭は日本で最も権威ある科学技術の映像祭です。
「ダイオウイカ大解剖 巨大生物 進化の謎」は日本各地の漁師たちの目撃証言などを絡めながらダイオウイカの解剖に臨む研究者たちを追った作品で、本学部加藤早苗准教授が取材協力をし、作品にも出演しています。
入選作品発表会は現在日程調整中です。

第7回騎射場ぶり祭PLUSを開催しました

2020年1月25日(土)に、水産学部魚食普及サークルPESCAが運営する「第7回騎射場ぶり祭PLUS」が行われました。今年は雨模様でしたが、例年通り1000人を超えるお客様が騎射場を訪れ、東町漁協や牛根漁協の養殖ブリや垂水市漁協の養殖カンパチ、枕崎産かつお節などの県産水産物を様々な料理で楽しみました。

【第8回かごしまTechミーティング】「『南星丸』に出来ること ~ 使い方はあなた次第!! 船で学んでよし、調べてよし、試してよし ~」を開催しました
「南星丸」について語る幅野船長

かごしまTechミーティングとは、大学との産学連携や、大学が持つ先端技術を知る「きっかけづくり」のためのオープンな場を目指した事業です。
少人数制産学マッチングイベント「かごしまTechミーティング」(鹿児島市HP)

2020年2月20日、鹿児島港小川埠頭に停泊中の水産学部附属練習船「南星丸」にて、今年度8回目のかごしまTechミーティング(鹿児島市、鹿児島大学産学・地域共創センター主催)が開催されました。
今回のテーマは、水産学部 附属練習船 南星丸 /船長の幅野明正 准教授による「鹿児島大学水産学部附属練習船『南星丸』に出来ること~ 使い方はあなた次第!! 船で学んでよし、調べてよし、試してよし ~」です。

2002年に建造された南星丸は、これまで錦江湾、薩南海域を中心に、徳之島から済州島といった九州沿岸での海洋調査や漁業調査など、学生実習や研究に従事してきました。近年では、大学生の乗船実習や研究調査航海以外にも、公開講座による一般乗船体験や教員免許更新講習「練習船を用いた海洋教育手法」、三島村との共同研究「わたしたちの海から地球(ジオ)を学ぶ(地球科教育)」などにも利用され、動く海洋教育の場としても貢献しています。幅野船長からは練習船の様々な観測機器や漁具についての紹介があり、またそれらを用いた実績が紹介され、参加者のみなさんとどのような活用ができるか意見交換を行いました。練習船は海洋における各種サンプリングや機器試験などあらゆるニーズに対応でき、また海洋教育の動く教室としても活用できます。共同研究や研修などでのご利用を希望される場合は、ぜひご相談ください。

志布志港で「かごしま丸見学会」を開催しました
高校生船内見学

2020年2月15日、志布志港若松埠頭で行われました「かごしま丸見学会」に、鹿児島県立志布志高等学校の生徒・教員10名、東串良町立柏原小学校の児童・教員26名が参加されました。

午前の志布志高校の部では、内山船長による大学・水産学部紹介の後、乗船実習学生による船内見学が行われ、続いて近年話題となっている海ごみ問題について、産学・地域共創センター特任教授の藤枝 繁先生による特別講義「北太平洋で見つけたもの」が行われました。ここでは2012年に実施しましたかごしま丸による北太平洋震災漂流物調査(ハワイ航海)の結果が紹介されました。また最後の「大学生活Q&A」コーナーでは、これから進学を目指す高校生からの「寄港地ではどのようなことをしていますか」「高校時代にしておくべきことは?」「どんなアルバイトをしていますか?アルバイトで稼いだお金の使い方は?」といった質問に、大学生が丁寧に回答していました。

また午後の柏原小学校の部では、同じく船内見学の後、藤枝先生がこれまで海岸で集められた漂着物について、実物を使った紹介がありました。イルカの骨やきれいなビーチグラスを手に、歓声や僕も拾ってみたいという声がたくさん上がりました。子供たちは帰宅後、「船にはたくさんの機械があってびっくりした」「船の構造って複雑、作った人ってすごいね」「海にはたくさんの宝物があるんだって」「かごしま丸は大きくて、エンジンルームを見てワクワクした」「学生さんが明るくて楽しかった」という感想を話していたそうです。

小中学生と乗船学生の集合写真
高校生へ内山正樹 船長挨拶
大学生活の質問コーナー
小学生船内見学
独立行政法人海技教育機構練習船「海王丸」船長らが本学部を訪問
霧島慰霊碑の前、右から大井二等航海士、南屋船長、佐久間学部長、恵美機関長、内山船長

1月30日独立行政法人海技教育機構練習船「海王丸」の南屋太郎船長、恵美裕機関長、大井一道二等航海士らが鹿児島港への寄港の際に、本学部を訪問されました。

本学部からは佐久間美明学部長とかごしま丸内山船長が出迎え、意見交換や学内の見学を行いました。今回の訪問では交流を深める有意義な機会となりました。

日本丸模型前
練習船かごしま丸「平成29年度沖合海域における漂流・海底ごみ実態把握調査業務報告書」が掲載されました
附属練習船かごしま丸

附属練習船 かごしま丸が環境省のホームページにて「平成29年度沖合海域における漂流・海底ごみ実態把握調査業務報告書」に掲載されました。

沖合海域における漂流・海底ごみ実態把握調査業務報告書 分割版

※一部の表記について訂正
(誤)鹿児島丸
(正)かごしま丸

国際学会PICES-2019でM2 中屋慧さんがベストポスター賞を受賞しました
(左)佐久間美明水産学部長、(右)M2 中屋慧

10月16日から27日にカナダのビクトリアで開催された国際学会PICES-2019(北太平洋海洋科学機関2019年次会合)でM2の中屋慧さんがベストポスター賞を受賞しました。

演題:Early life history of Japanese horse mackerel Trachurus japonicus in the north Satsunan area, southern Japan(北部薩南海域におけるマアジの初期生活史)

かごしま丸が宮崎大学の学生を対象とした共同利用乗船実習を実施しました
操舵体験

令和元年11月28日から12月3日の6日間、本学部附属練習船かごしま丸は、教育関係共同利用拠点認定事業の一環として、宮崎大学の学生を対象とした乗船実習を実施しました。
同大学からは深見裕伸教授と宮西弘助教に引率された農学部海洋生物環境学科2年生の24人の学生が参加し、内山正樹船長以下のかごしま丸乗組員の指導を受けました。
この実習は、かごしま丸を利用して、外洋域での各種海洋調査及び生物採集の手法を学習することを目的として平成23年から継続実施されているものです。実習初日は停泊中の船内で、かごしま丸教員による乗船ガイダンスと講義「国際漁場としての東シナ海および着底トロール漁業」及び「水産系練習船の連携による漂流・海底ごみ実態調査」、宮西助教による研究紹介「魚の生理を理解して応用に繋げる」が行われました。2日目は9時過ぎに鹿児島を出港し、操舵体験、船内見学、ロープワークを行いながら東シナ海のトロール操業海域を目指し、途中、薩摩半島沖でのCTDと多筒採水器による海洋観測、ニューストンネット曳網による水表生物の採集と観察及び日没後の稚魚ネット曳網による生物採集と標本観察の実習を行いました。3日目は東シナ海の陸棚域で2回の着底トロール操業と漁獲物の同定・測定実習を行ないました。参加学生は、これらの実習に加えて、かごしま丸が全国の大学の水産系練習船5隻と連携協力して実施中の環境省事業「漂流マイクロプラスチックを含む漂流・海底ごみの分布実態調査」の一環で、ニューストンネット曳網による表層に浮遊するマイクロプラスチックの採集と着底トロール曳網による海底ごみ回収調査を体験するなど、大型船舶を使った洋上における海洋生物と水圏環境の調査手法を体験しました。かごしま丸は12月1日に指宿市山川に寄港し、翌2日に有限会社マルサカ坂井商店かつお節工場を見学しました。宮崎大学の教員・学生は、坂井弘明社長からかつお本枯節の原料、製造工程、消費について詳細な説明を受けると共に、活発に質問していました。夕食後は、谷山沖に錨泊した船内で、本実習での体験や学習内容から班ごとにテーマを決めて、実習中に得た資料や情報、文献調査の結果をパワーポイントにまとめてグループ発表を行いました。
今回の実習は、全航程好天に恵まれ、予定していた実習を無事故で全て実施できたこともあり、参加した宮崎大学の教員・学生は大いに満足したようでした。深見教授は、「毎年のことだが、この乗船実習の前と後で学生が人間として少し成長しているのを実感している。大型練習船でのトロール操業や海洋観測実習はもちろん、船上での団体生活、鹿児島大学の学生との交流を通した相互啓発も含めて、学生たちにとって貴重な経験となっている。来年以降も共同利用制度を利用して、この乗船実習を継続できればありがたく思います。」と語っていました。参加した学生には、同大学の海洋生物探査講座の単位が付与される予定です。
平成31・令和元年度のかごしま丸共同利用航海は、本航海終了をもってすべて計画通りに実施を完了しました。

着底トロール操業
かつお節工場見学(坂井商店、山川)
グループ発表

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