HOME 投稿 国際学会にて村田楽人さん(農林水産学研究科2年)がベストポスタープレゼンテーション賞を受賞しました

国際学会にて村田楽人さん(農林水産学研究科2年)がベストポスタープレゼンテーション賞を受賞しました

(左) 佐久間美明 農林水産学研究科長、(右) 農林水産学研究科2年 村田楽人さん

9月26日~30日に韓国プサンで開催されたPICES Annual Meetingで、農林水産学研究科2年の村田楽人さんが「Copepod community determined with metabarcoding analysis represents advection of with coastal waters to the Kuroshio」についてポスター発表を行い、ベストポスタープレゼンテーション賞を受賞しました。

黒潮域は貧栄養で生物生産力も低いと認識されてきましたが、黒潮流域には多様な魚類の産卵場や仔稚魚の索餌海域が存在します。しかし、遊泳力が弱く死亡率の高い仔稚魚が餌の少ない黒潮流域で成長することは、生活史戦略として適応的ではありません。近年、生物量の高い水塊が沿岸域から移流すると黒潮域の動物プランクトン現存量が増加すること、沿岸域に特徴的な生物群が移流すると黒潮域の動物プランクトン群集組成が多様になることが報告されており、黒潮域にも仔稚魚の餌が存在することを示唆しています。このため、仔稚魚の索餌海域としての黒潮域を評価するには、沿岸域から移流する生物群を検出する必要性があります。

村田さんは、遺伝子から多様な生物群を迅速かつ正確に検出可能な技術を応用し、黒潮流域へ移流する沿岸域動物プランクトンが黒潮域動物プランクトン群集に対して及ぼす影響を評価しました。その結果、沿岸域および黒潮域で特徴的な分類群組成があり、これらの海域が接する海域では沿岸水の移流に伴う動物プランクトン分類群組成の変化が起こることが明らかとなりました。

これらの結果は、沿岸水の移流に伴って仔稚魚の餌が供給され、黒潮域が索餌海域として必ずしも不適ではないこと示唆しています。この研究成果は、黒潮に対する海洋観を変えるきっかけとなる発見の1つと言えます。

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