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鹿児島大学海洋資源環境教育研究センター 小山次朗

 

錦江湾のきれいな水を取り戻す

 錦江湾の周囲には、約88万人の人たちが住み、多くの工場もあります。そのため、多くの物質が錦江湾に流れ込み、水を汚しています。川のようにいつも流れていれば汚れはたまりませんが、錦江湾のように水がたまってしまうとその汚れがなかなか取れません。水の汚れを簡単に示す値として透明度(直径30cmの白い板が見えなくなるまでの水深)がよく知られています。透明度の値が大きければ、その水の汚れが少ないこととなります。昭和30年頃までは錦江湾の透明度はいつでも15m以上あったそうですが、現在は最も良い所(指宿市沖)で24m、最も悪いところ(湾の奥)で8~9m、赤潮が発生すると2m以下になってしまいます。

 

錦江湾の汚れを知る

 CODという値は、汚れの元である有機物の量を表します。錦江湾のCODは全国の基準で最も厳しい2mg/L未満でしたが、平成10年以降は、鹿児島市沖よりも北の多くの地点で基準が達成できていません。その原因は、陸から流れ込む有機物や湾内で増えている植物プランクトンではないかと考えられています。
 植物プランクトンが増えるには窒素やリンなどの栄養が必要です。錦江湾ではこれらの物質の濃度が少しずつ上昇し、ついには植物プランクトンがたくさん増える赤潮が起こってしまいました。錦江湾で起きた赤潮では平成7年4月の約10億円の被害を始めとする多くの水産業被害がありました。下水、工場廃水の処理や魚類養殖の効率化を進めることで湾内に流れ込む窒素、リンの量を減らし、赤潮の発生回数が減ってきていますが、まだ十分ではありません。鹿児島大学水産学部では、錦江湾の赤潮発生を少しでも減らすことができればと考え、実習船南星丸を使って錦江湾の窒素やリンの分析を実施してその水質を監視しています。