黒潮の研究

水圏科学分野 海洋環境研究室(中村啓彦・仁科文子・須本祐史)

私たちの研究室では、海洋物理学の立場から、黒潮に関する幅広い研究に取り組んでいます。研究の中心課題は、黒潮自体を理解すること(海洋物理学)、つまり黒潮の時間・空間変動の力学を理解することですが、応用課題では、黒潮が海洋生物資源に与える影響(水産海洋学)、黒潮が北東アジアの気候システムに与える影響(海洋気候学)、黒潮が古代の歴史に与えた影響(海洋考古学)の研究にも取り組んでいます。研究手法も幅広く、練習船「かごしま丸」を利用した黒潮の観測(現場観測)、人工衛星などにより取得された既存の観測データの解析(観測データ解析)、海洋循環モデルや大気循環モデルを用いたシミュレーション(数値計算)に大別されます。最近の研究トピックでは、黒潮の速さ・流路の季節変動・経年変動を引き起こすメカニズムとして、本質的に新しい力学仮説を世界に向けて提案中です(海洋物理学)。また、ニッチな部分では、弥生時代における九州と沖縄島の間の手漕ぎ船による交易に及ぼした黒潮の影響の卒業研究があります(海洋考古学)。
このように幅広くテーマを掲げているので、物理志向の学生から生物志向の学生まで、何か一つは自分にフィットするテーマを見つけて研究に取り組むことができます。研究活動紹介として、2015年度より研究室で推進している国際共同観測と今年度から始めた研究課題のポンチ絵を示します。

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