水産物のマーケティングや消費者行動、魚食普及活動に関する研究

当研究室が企画に参加し講師も務めた、モスクワでの日本産養殖魚販売促進セミナー風景

水産経済学分野 水産流通学研究室(佐野雅昭・久賀みず保)

水産流通学研究室は、日本でも数少ない水産物のマーケティングや消費について専門的な教育や研究を行う研究室です。これまでにも3人の教員が多くの研究成果や学術論文を発表してきました。そのうちのいくつかをご紹介します。
まずブリやマダイ、サーモンなど養殖魚の流通やマーケティング、その消費に関する研究です。この研究が評価され、日本全体の殖業の将来やその成長戦略を考える政府の委員会でも活動し、また養殖魚の輸出促進活動にも深く関わっています。

 

小売店での調査風景

次に小売業の研究です。当研究室は全国のスーパーや鮮魚小売店のオペレーションを調査・分析してきました。マーケティングや小売業のマネジメントという専門的立場から、水産商品の商品特性分析に基づいた魚食普及の具体的な方法論や水産物固有のマーケティング理論を全国に先駆けて提唱してきました。全国の鮮魚小売店や有力スーパー、水産流通コンサルタントなどプロフェッショナルの方々との交流も深まっており、水産物小売企業などで、社員研修を担当することも多いです。

有力スーパーとコラボしたノルウェーサーモンの商品開発)


 

八戸・塩鮭加工工場での調査風景
枕崎・かつお節加工工場での見学風景

缶詰やかつお節など加工食品の研究も継続して行っています。八戸、焼津、松浦や塩竃など全国の有力な水産加工企業の調査を行い、工場の見学も頻繁に行っています。特に枕崎のかつお節産業の研究には力を入れており、研究蓄積は全国でもトップクラスです。最近では簡便化食品の加工が活発になっており、そうした新しいトレンドも見逃さないよう、丁寧な市場調査や統計分析を行っています。


 

水産業と環境保護に関するWWFとの話し合い

最後に、消費者の行動分析です。特に環境認証制度の研究を進めています。近年では水産物商品にも環境認証を要求する動きが世界的に高まっています。当研究室はこうした市場の動きを分析し、それに対する消費者の行動分析を行っています。また、現実の認証制度の中で具体的な役割を与えられ、日本の新しい水産物流通の仕組みを作る過程に貢献しています。


水産物という豊かで素晴らしい、かつ文化的な商品の価値を消費者に正しく届けること、そのことによって日本の水産物に優良な顧客を創造し、その生産者や流通業者の未来を守ること。そして水産物を中心とした日本の食文化の守護者となることで、豊かな消費生活の維持に貢献すること。それが当研究室の役割です。卒業生もほとんどが水産物を扱う食品業界に就職し、卒業後もフィッシュビジネスを通じてこの理念の実現に関わっていきます。もちろん研究室教員ともずっと繋がって、理念や情報を共有しながら、そして卒業生同士のネットワークも駆使しながら、日本の食品業界で活躍しています。
あなたも是非ここで3名の教員と一緒に学び、日本の未来の魚食を一緒に作っていきませんか?

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