
食品生命科学分野4年生(塩崎研究室所属)の江籠遥香さんが、12月6日に長崎大学で開催された日本水産学会九州支部大会において、九州支部長賞を受賞しました。本賞は、発表者の中から最も優秀な発表を行った1名のみに授与されるもので、学部生による受賞は稀であり、高い評価を得た成果となりました。
受賞研究のテーマは「Neu1タンパク質によるGABA神経系を介した魚類の社会行動調節機構」です。本研究では、中枢神経系に高発現するNeu1タンパク質に着目し、Neu1機能が欠損した魚類で他個体への興味・接近行動が顕著に増加することを明らかにしました。さらに、その作用機序が相手個体の大きさによって異なること、その社会行動の制御にはドパミンとGABAの神経伝達バランスが重要であることを示しました。
魚類の社会性行動の低下は、養殖現場において摂餌量の減少や不安行動、免疫能低下などの課題と関連しています。本研究成果は、Neu1タンパク質を標的とした新たな養殖魚の健全性向上技術の開発につながる可能性を有しています。加えて、社会性の低下はヒトの多くの精神疾患でも認められる症状であることから、本研究は神経機能の基盤理解を進め、将来的な創薬研究や機能性食品開発にも寄与し得る知見を提供するものです。
今後の更なる研究の進展が期待されます。
