
2025年5月17日から5月19日の3日間、本学部附属練習船かごしま丸は、教育関係共同利用拠点認定事業の一環として、早稲田大学及び本学法文学部の学生を対象とした乗船実習を実施しました。この実習には両大学から多くの学生が乗船しており、1回の航海における定員を上回る場合は参加学生を2班に分けて航海を実施 してきました。今年度も参加希望者が受入れ可能人数を上回ったため、前述のように同等同質の実習を 2 回連続して実施しました。
早稲田大学からは法学部3年生の12名が、本学からは松田忠大教授に引率された法文学部法経社会学科法学コースの3年生7名と人文社会科学研究科博士前期課程の1年生1名が参加し、幅野明正船長以下のかごしま丸教員・乗組員の指導を受けました。この実習は、箱井教授と本学法文学部の松田忠大教授により両大学の共同演習「海商法セミナー」として企画され、2014年から継続実施されています。海上物品輸送という商行為について定めた法律である海商法(商法第三編)の法解釈や船舶衝突により生じた賠償責任等の裁判例に現れた事案の理解をする上で重要な、大型船舶の構造・設備、運航実務及び海上交通法規をかごしま丸での洋上実習を通して学習することを目的としています。
乗船初日の午前中は停泊中の船内で、福田隆二主席一等航海士による乗船実習ガイダンスと退船操練・居室のベッドメイクなどを行いました。午後からは、牧野一等航海士及び畑辺佳奈子二等航海士から「海上交通法規(海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法)」、「船の職制・船体構造等の概要」についての講義を受けました。夕食後は、松田教授による船内セミナー「船舶衝突における損害賠償責任」が実施されました。
2日目は朝食後に谷山港を離岸し、コンパスデッキから出港作業を見学しました。見学後は機関室および甲板外回りの見学と操舵実習を行いました。午後からはロープワークと船橋での航海当直実習を行いました。かごしま丸教員の指導の下、双眼鏡による目視や海図での位置確認の方法、レーダや船舶自動識別装置(AIS)等の航海機器の使用方法を教わりながら、周囲の船舶との見合い関係や動静把握を体験しました。その後、谷山港沖での投錨作業を見学し、夕飯を済ませてから午後8時までの間は釣り実習を行いました。
最終日は朝食後に居室および共有区画の一斉清掃を実施し、終了後にコンパスデッキに上がって入港作業を見学しました。かごしま丸は全ての実習内容を完了し、午前9時過ぎに谷山港に着岸・帰港しました。大型船舶の操船や、釣り実習、皆で協力しての食事の準備など、参加した学生達にとって非常に新鮮な体験になった様子でした。
この実習航海は、本学部の航海技術乗船実習Ⅰ受講の4年生10名との混乗で実施しました。


