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小型浮魚類の産卵及び成育場としての北部薩南海域の重要性

水産学部の久米・小針・塩崎研究室では、熊本県立大学、東京大学大気海洋研究所との共同研究により、北部薩南海域が多くの小型浮魚類にとって重要な産卵及び成育場として利用され、日本の太平洋沿岸資源を支える可能性が極めて高いことを明らかにしました。

アジ、サバ、イワシ類に代表される小型浮魚類は、私たちの食卓を支える重要な水産資源です。2015年以降、練習船南星丸により継続実施してきた調査結果から、鹿児島湾口部から大隅海峡に広がる北部薩南海域には、小型浮魚類の大規模な産卵及び成育場が形成されていることが明らかとなりました。

鹿児島湾の湾口部では冬季から春季にかけて黒潮の分岐流が表層から流入し、これに伴い流出する底層水の湧昇が春季ブルームを引き起こします。ブルームは仔稚魚に豊かな餌環境を提供し、産卵及び成育場の形成の主要因となっていると考えられます。小型浮魚類は仔稚魚の分散に黒潮を利用しており、成長、加入した個体の多くは黒潮下流の日本の太平洋沿岸域で漁獲されていますので、北部薩南海域は我が国の太平洋沿岸域の水産資源を支え、資源を今後適正に管理していく上での鍵となります。

 

なお、これらの研究成果は、国際誌(Frontiers in Marine Science, Estuarine, Coastal and Shelf Science, Marine Biology)に掲載されました。

開聞岳(南星丸から)
ORIネットによる仔魚の採集風景

 

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