2021年度公海域水産乗船実習日記[かごしま丸]第5話(最終話)



乗船実習日記 第5話(最終話)
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第5話[09/18]
実習終了解散!

操業を中止してから10日間、台風を追いかけながら北上し鹿児島に入港しました。漁具の片付けや船内の清掃を行い全ての実習が終了し下船日を迎えました。

コロナ渦の中で寄港地が無いなど以前の実習と比べると非常に制限された実習でした。その中でも実習生はお互い助け合いながら日々の授業、実習に明るく楽しく取り組んでいるように見えました。

この実習の経験や思い出が今後の人生の中で役立つことがあれば一緒に乗船した乗組員としてうれしく思います。

気象通報の観測
海洋ゴミの観測1
海洋ゴミの観測2
航海当直1
航海当直2
漁具片付け
魚の匂いよさようなら
魚倉掃除完了
水揚げ

 

実習生 西中間大湖:8月25日、日程の変更はあったものの無事出港の日を迎えることができた。航海当直への少しの不安と漁獲量への期待を胸に仲間たちと談笑しているまでは良かった。ところが外洋へ出た途端、想像を絶する揺れが私を襲い、起きていられなくなった。私は海技士プログラム所属で将来は航海士なのだと心に決めていたのだが、そんな思いが揺らぐほどに、数日間にもわたる船酔いは辛いものだった。しかしある日突然船酔いが治まった。船の揺れの変化はないはずなのにである。結局、鹿児島に戻るまで再び船酔いを起こすことはなかった。

今回の乗船を通して船酔いに打ち勝ち、かつ、将来の自分の働いている姿がよりイメージできるようになったことで、航海士になることに対する熱量がより高まったと思う。

今後も同じ志の仲間達と協力していきたい。

実習生 伊藤花凛:延長かった航海もいよいよ終わりを迎えます。乗船時は初対面だった人とも作業や当直、操業期間を通して仲が深まり、忙しいながらもとても楽しい日々でした。

船から見える海や空は様々に表情を変えて美しい景色を作り出しており、贅沢な気分を満喫できました。また、当直などで航海計器を実際に扱えたことで憧れでしかなかった航海士という職業に具体的なイメージを持つことができたので良かったです。

今回学んだことを忘れず、今後の実習に活かしたいと思います。


第4話[09/12]
ある日の野帳班

8回を予定していたまぐろはえ縄操業実習でしたが、残念ながら近くで発生した台風の影響を受けて残り2回を残して打ち切りとなりました。まだまだ操業を楽しみたくてがっかりしている実習生もいれば、毎朝の早起きから解放されて喜んでいる実習生もいて、それぞれいろいろな思いがありますが、皆良い経験が出来たという思いは共通しているようです。

現在、台風の進路に気をつけながら鹿児島へ向け北上中です。学生、乗組員全員元気です。


 

投縄作業も慣れてきました
操船
揚げ縄作業
ビンチョウ
メバチ

 

実習生 岡村いつき:私が今回この実習に参加した目的は、大学生でしかできない経験をするためでした。

この目的において延縄操業はまさに一生に一度の貴重な経験となりました。教科書で学んでいた延縄操業から想像していたより辛くしんどいものでした。毎日大量のロープを入れて引き上げる作業は単調に見えて頭を使うものだと感じました。しかし、そのぶん釣れた時の喜びは非常に大きく、食に対する感謝の気持ちを改めて確認することができました

実習生 西田明弘:延縄操業は朝4時に起き、普段と違う生活サイクルで長時間作業を行った。それは想像以上に過酷で体が汗と魚の生臭さで覆われた。だが、作業を繰り返し行うことで、作業に慣れ船員さんとも仲良くなり、マグロが釣れた際には全員で喜ぶ楽しさがあり、それまでの疲れが吹き飛ぶほどのかけがえのないものだった。

延縄操業の幕切れは突発的な台風によるもので予定よりも早い操業終了となった。操業時の大変さとは裏腹に少し寂しさが残っている。


第3話[09/07]
夜明け前

北緯12度付近までやってきました。いよいよマグロはえ縄操業の開始です。実習生は初めての作業に期待半分、不安半分といったところでしょうか。

安全第一で頑張りたいと思います。

投縄作業開始
揚縄開始前1
揚縄開始前2
初めて触れたマグロ
メカジキ100kg

 

 

実習生 上田七星:長い航海期間が終わり、ついに操業期間に突入しました。楽しみにしていましたが、
いざ始まってみると四時起床や力仕事という普段と違う生活に苦戦しています。しかし、共同生活を通して仲良くなった友人や先輩のおかげで挫折することなく日々を送ることが出来ています。今日で、乗船生活も残り二週間をきりました。始まった当初は嫌でしょうがなかった乗船も今ではとても名残惜しいです。残された時間を無駄にしないように楽しんでいきたいと思います。
実習生 近藤萌々:この「かごしま丸」に乗船してから、約25日が経過しました。乗船前は電波もつながらない場所で、限られた人数での実習なんて退屈に決まっている!私もキラキラした大学2年生の夏を過ごしたいのに!そう思っていました。しかし、乗船してからその考えは徐々に変わっていきました。朝が早いこと、電波がつながらないことなど不満はゼロではありません。しかし、初めて見る満天の星空や、360°どこまでも続く水平線、自分たちで投縄した縄でマグロを釣った時の嬉しさ、毎日経験することの全てが新鮮で、実習に参加していなければ体験できないことばかりでした。

10代最後の夏、忘れられない思い出を作ることができて本当に良かったです。


第2話[09/03]
投縄作業練習

鹿児島から漁場に向け航行して1週間。いよいよマグロはえ縄操業が始まりました。

今回は鹿児島を離れてから操業開始までの様子をお伝えします。

朝のラジオ体操
自由時間
ランチタイム
投縄作業練習

 

実習生 郡司 蒼:「本当に今回の実習を乗りこえられるだろうか」実習の乗船前にそのように思ったことを鮮明に記憶しています。

私は海技士プログラムを履修していません。また私には持病があり、心配の種でもありました。しかし心配の種をふきとばすほどに実習の内容は濃いものです。実習の当直、延縄漁の仕事を実際に行う操業、特に操業では滅多にない経験をすると同時にたくさん働くことになります。ステップアップした環境に身を置くことで自分の成長を感じることもできます。

残りの期間でたくさんのことを経験したいと思います

実習生 日高健人:現在午前8時半、投縄作業が終り、午後の当直までつかの間の休息です。延縄の操業には朝5時から約2時間かけて750本の仕掛けを海に投げ入れる投縄作業と昼14時から夜の19時頃まで朝に投げ入れた仕掛けを回収する揚縄作業の2つがあります。

最初、この作業の話を聞いた時、体が壊れるのではないかと思いました。しかし、一通りの作業を終えた今は「疲れた」というより「やりきった」という達成感の方が大きく、皆の顔が普段より明るくなったように思います。あと数回操業させて頂く機会がありますが、皆と力を合わせ、乗り越えられるよう頑張ります。


第1話[08/31]
桜島としばしの別れ

8月12日、実習生19名がかごしま丸に乗船し公海域水産乗船実習が始まりました。

初めて乗船実習に参加する学生が多い中、鹿児島港にてコロナ感染症拡大防止に留意しながら船内生活の基礎と天測計算についての講義や漁具積込などをこなして1週間、8月19日に鹿児島港を出港。しかし、コロナ感染症の拡大防止に万全を期すため出港してすぐに平川沖に錨泊。マグロはえ縄操業の準備、天測計算の練習をこなしつつ、学生及び乗組員の健康観察をさらに1週間行い8月25日に晴れて操業海域に向けて航走を開始しました。現在フィリピンの東沖を順調に航走中です。学生、乗組員全員健康です。

まぐろ延縄準備1
まぐろ延縄準備2
金星をバックに天体観測
夕食後の天測計算

 

実習生 石川 斉:私たちは今、鹿児島の海を離れ、台湾を過ぎフィリピンに近い海域までやってきました。コロナの影響もあり予定よりも少し遅れた航海となりましたが、船内の生活にも慣れて順調な日々を送ることができています。

実習内容としてコンパスデッキまでのぼり、学生同士で太陽や天体の高度を測定し測定した値をもとに計算を行い船の位置を求める実習を主に行っています。頭を使うだけの座学ではなく、手や目などの全身を使った実習をすることで、五感が刺激され楽しみながら計算することができます。

また、延縄の操業が近々始まるので朝が早いですが頑張ろうと思います。

実習生 浦川 結:海技士プログラム履修のために参加したこの航海域乗船実習ですが、初めて経験する長期の乗船ということで少し不安に感じていました。しかし、それを上回る楽しさや新鮮な体験をできたことで、少し自分を成長させることが出来たのではないかと思います。

船の揺れの中で天測計算をして気分が悪くなったり、当直中に弱音を言ってしまって航海士の方を心配させてしまったこともありますが、海象や星をさえぎる雲、強い日差しに苦しめられながらも、外洋に出た際の美しい青い海や、初めて目にする海鳥に興味をもったり、その海鳥と甲板員さんが戦っている場面を見ることが出来たのは面白かったです。また、生まれて初めて天の川や満天の星空を目にしたことも、この航海ならではの貴重な体験です。

補足説明:海鳥がデッキに糞を落とすので乗組員は何とかして追払おうとしますが、海鳥はなかなか逃げてはくれません。

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