錦江湾で育つ元気な魚たち

　美味しい魚を育てるのは、元気な魚を育てることから始まります。私の養殖場では、一切の薬品を使用しないで魚を育てています。イケスに入れる魚の尾数をおさえ、広々とした環境で育てているために運動も十分で健康にすくすく育ちます。餌はサバ、アジなど鮮度の良い国産のものを主として使用し、福山黒酢を添加して与えています。イケスの中には、海草などの付着物を食べるイシガキダイを少数混養することで潮通しを良くし、防汚剤などは一切使用していません。これは海のアイガモ農法として注目され、伊藤知事も見に来られました。高度な技術を必要とするものはそんなにありません。ただひたすら心を込めて地味な作業を積み重ねているのです。

美味しく安全な魚を

　一般的に養殖魚は脂がきついのではないかと敬遠されがちです。しかし質のいい脂肪は魚本来の旨味そのものです。また養殖されるブリやカンパチには頭の働きを高め、生活習慣病の予防にも効果があると言われているEPA、DHAが非常に多く含まれているのです。そこで私たちは餌を改良したりカテキンや黒酢を混ぜて与えたりして、さっぱりしていても旨味がある質の良い脂の乗りを実現してきました。食べているといつのまにか健康になる、そんな魚造りを目指していきたいと考えています。またこれからは若い人達にも錦江湾の新鮮な魚をもっと食べてもらいたいと考えています。魚食の素晴らしさを地域の文化として伝承していくために、私たち養殖業者も貢献したいと考え積極的に活動しています。