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ダイビングサービス海案内 出羽慎一

 




ジュウジキサンゴ

アカオビハナダイの雄

 

海面の向こう側

 桜島西端に位置する袴越海岸。溶岩の浜辺を、重い機材を背負って海に向かいます。錦江湾を挟んで、間近に見える対岸には、ビルが立ち並ぶ60万都市鹿児島市の市街地が広がっています。
 マスクを付け、顔を海の中につけたとたん、錦江湾マジックがはじまります。海面という境界を突き破った瞬間、先ほどまで見ていた文明世界は消え去るのです。
 青々と茂るのはスリコギヅタ、そして海底一面に敷きつめたようなサンゴイソギンチャクの大群生地。ふいに現れた僕に、クマノミたちが「カチカチ」という音を出して威嚇したりします。突然、目の前に現れたのは天の川のようなキビナゴの群れ。日差しに体側の銀の帯をきらめかせ泳いでゆきます。にわかに群れに緊張が走ったと思うとカンパチの襲撃でした。
 光に溢れた浅瀬はほんの僅か。海底は急斜面となって闇に包まれた深場へと続きます。潮に流されないよう、海底の岩につかまりながら、斜面を降りていくと斜面は色とりどりの刺胞動物たちに埋め尽くされ、お花畑のよう。群れ泳ぐのは錦江湾以外ではとても珍しい、アカオビハナダイ。婚姻色を身にまとったオスが求愛のダンスを披露します。
 タンクの空気も残り少なくなり、後ろ髪を引かれる思いで、水面に向かって浮上します。
 数分後、再び海面に顔を出した僕の目の前に広がるのは、人々が日々あわただしく暮らす文明の世界。先ほどまでの体験が夢の中の出来事のようです。
 街の目の前に広がる大自然、錦江湾の海中には、今日も野生の息吹が満ち溢れているのです。

ミドリイシ類(イシサンゴ類)群生地
 
キビナゴの産卵
 
サンゴイソギンチャクの群生地
 
カンパチの若魚の群れ