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2017年05月26日

研究

中村啓彦教授(海洋物理学)が2017年度日本海洋学会日高論文賞を受賞


中村啓彦

2017年5月22日に、幕張メッセ国際会議場でとり行われた授賞式。日比谷紀之日本海洋学会会長(東京大学教授)とともに。

中村啓彦教授(海洋物理学)が2017年度日本海洋学会日高論文賞を受賞しました。受賞対象論文と授賞理由は下記の通りです。

受賞対象論文:

Hirohiko Nakamura, Riku Hiranaka, Daisuke Ambe, Tsutomu Saito (2015): Local wind effect on the Kuroshio path state off the southeastern coast of Kyushu, Journal of Oceanography, 71(5), 575-596, doi:10.1007/s10872-015-0309-1.

受賞理由:

黒潮は、東シナ海から本州南岸沖を通過して太平洋内部へと流れる間、その流路や流速に様々な変動を示すことが古くから知られており、その原因を探る研究が多くなされている。例えば、九州南東方沖の小蛇行は、本州南岸沖に現れる大蛇行のきっかけとして注目されてきた。この小蛇行の形成機構は、未だ断片的な理解にとどまっており、時空間的特性や形成機構などに関する統合的な視点での研究が求められている。 

本論文は、このような九州南東方沖の小蛇行発生の季節性について、これまでに得られた観測データを用いて再検討するとともに、理論的考察および数値モデリングを用いて小蛇行の形成機構を領域的な視点で捉えたものである。

本論文では観測結果の解析、理論的考察、および数値モデルの組み合わせにより小蛇行形成に対する統合的な仮説が提案されており、これまで局所的かつ断片的な把握にとどまっていた九州南東方沖小蛇行形成のメカニズムの理解に対して、これを一歩進めることに大きく貢献するものと考えられる。以上の理由から、本論文は日本海洋学会日高論文賞にふさわしい優れたものと認め、その主著者である中村啓彦会員を受賞候補者として推薦する。(日本海洋学会長日比谷紀之氏の推薦文より部分的に抜粋)