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2024年10月14日
研究農林水産学研究科1年 井上遼樹さんが日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会2024において 学生優秀発表賞を受賞しました
農林水産学研究科環境フィールド科学専攻1年の井上遼樹さんが、 島根県松江市で開催された日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会2024において、学生優秀発表賞を受賞しました。 今回受賞した研究テーマは「DNAメタバーコーディングによる薩南海域の流れ藻生態系の食物網構造の検討」です。
海底を剥離して海表面を漂う海藻類のことを「流れ藻」と呼びます。鹿児島県近海には、中国沿岸から東シナ海を経由して多くの流れ藻が漂流してきます。 流れ藻やその周辺には、様々な小型葉上動物や魚類が生息し、周囲の水塊中とは大きく異なる独特の生態系を形成することが知られています。 他方、小型の葉上動物の被食-捕食関係を調べるのは困難であり、流れ藻の食物網構造については、これまであまり詳しいことは分かっていませんでした。
そこで、本研究では、DNAメタバーコーディングと呼ばれる、消化管内のDNAをもとに生物が何を食べたかを調べる手法を適応することで、 流れ藻周辺に生息する葉上動物と魚類各種の被食-捕食関係を明らかにし、流れ藻上の食物網構造を明らかにしました。 また、鹿児島大学附属練習船南星丸・かごしま丸を利用することで、広範囲から流れ藻を採集することができたため、東シナ海から薩南海域にかけての流れ藻の食物網構造の遷移を検討することができました。 本研究成果により、東シナ海から北部薩南海域への漂流過程で、流れ藻周辺の食物網構造が変化していることが示唆されました。