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2016年02月19日

研究

小さな生物を見分けて分別する


小針統

今週は魚類生態研究室と一緒に、仔稚魚・動物プランクトンの識別分別作業をしていますので、これについて少しご紹介したいと思います。

薩南海域を中心とする黒潮源流域は多くの魚介類の産卵場となっており、孵化・発育した仔稚魚の索餌海域ともなっています。例えば、アジ・マイワシ・カタクチイワシ・スルメイカ・クロマグロ・サバ類など、よく知られている魚介類で、魚食日本を支える魚介類でもあります。しかし、私たちの研究成果では、これら以外の中深層に分布する魚類(中深層性魚類と呼ぶ)のほうが数量的に多いことが分かってきました。そうなると、低次生産が低いといわれている黒潮流域で、これら中深層性魚類(食べられない魚)は水産有用魚介類(食べられる魚)と餌をめぐる競争をしているのでは?という疑問が出てきます。この疑問を解決するために、安定同位体解析という方法を使って、様々な仔稚魚とそれらの餌となる動物プランクトンの「喰う喰われる」の関係を調べています。そのためには私たちプランクトン研究室と魚類生態研究室で協力し、薩南海域で採取したサンプルの中から仔稚魚と餌プランクトンを分類群別に識別し、つまみ出すことをしなければなりません。地味な作業ではありますが、色彩が綺麗だったり、形態が変わっていたりする生き物がいるので、やってみると楽しいものです。

今回は、その作業中の風景を置いておきます。

安定同位体サンプル識別分別