ギマラス島重油事故関係 第6弾

【速報第6弾:海上技術安全研究所 海洋部門 深海技術研究グループ 黒田貴子研究員(10月1日)】

海上技術安全研究所ではH18年度からの重点研究課題として船舶からの油流出による海洋汚染の防止に資する研究に取り組んでいます。油流出事故は事前の対応(危険性の把握・評価)と事故時の初動対応(防除手法の選択)が重要です。この研究では沈船からの油流出を含む船舶から流出した油の環境影響評価に基づく防除手法意思決定支援ツールの開発を目指しています。鹿児島大学水産学部の松岡学部長、小山教授とは当所と共同研究を行っており、それぞれ沈船からの船体腐食による油流出時期の予測に関する研究と流出油の生物への毒性評価に関する研究を実施しております。
2006年8月11日にフィリピンのギマラス島沖で沈没、流出事故を起こしたSOLARⅠ号の油回収作業に関して、9月中旬にアドバイザリーグループ長として対策委員を務めるフィリピン大学ビサヤス校G. Aguilar学長から当所に問合せがありました。

問い合わせの内容は、

  1. 水深643mの沈船内に残された油の特性はどのように変化するのか?
  2. 沈船内の油は,今後まだ流出する危険性があるのか?
  3. 本事故での沈船内の油回収を行う場合に最も適した回収方法は何か?
  4. 今回の海難事故に関して,研究対象として興味があるか?

というものでした。その後、現地で分かっている沈船の状況について連絡がありました。
当所ではこれまで調査した油回収作業に関する資料(エリカ号、プレステージ号、ナホトカ号)を提出し、上記の質問に対してAguilar学長にメールで回答しました。
当所では海中での油回収技術に関しても将来の研究視野に入れており、今回の沈船ではどのような油回収方法をとるのか大変興味のあるところです。今回の事故では油回収技術に関する調査を行い、フィリピンの抱える問題にご協力できればと考えております。二次災害が発生する前に沈船になんらかの対応がなされることを祈っております。

(注: 黒田研究員は以前、鹿大水産学部-フィリピン大学ビサヤス校の間で行われている拠点大学交流参加研究者であった縁もあり、今回関連活動状況を投稿してくれたものです。)

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