ギマラス島重油事故関係 第3弾

【速報第3弾:山本 淳教授(9月16日)】

9月11日にギマラス島南部の重油汚染地域の視察団に参加しました。養殖分野の視点からの速報です。ギマラス島南部沿岸には養殖場はほとんど見当たらず、海岸線から200~300mほど内陸にミルクフィッシュの養殖池が数箇所見えた程度でした。おそらくこれはかつてエビを養殖のためにマングローブを破壊してきた反省から、マングローブ・フレンドリーな養殖方法に転換したことが大きな原因と思われました。また、後日AQDで聞いたところでは、現地はエビ養殖場の跡地にマングローブを植林したので養殖施設はほとんどないとのことでした。

多少拍子抜けの感がありましたが、今回のオイルスピルが養殖に与える影響として、次の3点が考えられました。

①飼育池と海水の汚染: これは養殖に限った問題ではありません。汚染された池や網などの施設や器具をどこでどのように洗浄するかは緊急に解決しなくてはなりません。事実、イロイロ市を離れる日の新聞には水生生物に有害な洗浄剤が既に使われているとの記事がありました。漁具の洗浄は漁業の分野の問題でもあります。
②飼育魚の汚染: 汚染された飼育魚は当然廃棄され、それに伴う経済的損失が発生するだけです。そして養殖の場合、非汚染地域から新たに種苗や親魚を導入すればこの問題はクリアーできます。もっとも、汚染地域の魚という風評は当分付いて回ると思いますが...。
③餌の汚染: これが一番重い問題と思われます。魚類養殖には餌としてtrash fishをミンチにして与えています。汚染されたtrash fishの投与によって養殖魚に油臭が移り、これが商品価値を下げないかという点です。food science の分野と重なりそうですが、取り組む価値はありそうです。

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