ギマラス島重油事故関係 第2弾

【速報第2弾:小山次郎教授(9月14日)】

今回の流出事故について簡単に追加説明をします。フィリピンのタンカーSolarⅠが荒天航行中に沈没し、積荷である200万リットルのbunker oil(日本で言うA重油)の内の20万リットルが既に流出し、現在も少量ながら流出し続けています。流出した油は季節風によって北東方向へ漂流し、ギマラス島南部を直撃しました。その後、ネグロス島西部、パナイ島南東部にも流出油が達しているとのことです。
ギマラス島油流出現場の現地調査に行ってきました。ギマラス島の役所に寄って生物試料採取の申し入れを行った後、舗装されていない道路を1時間ほど走り、ギマラス島南端の小さな漁村に着きました。このすぐ目の前にはUPVのステーションのあるTaklong島があります。ステーションの場長の話では、Taklong島を含む一帯が流出油によって最も大きな影響を受けているとのことでした。我々は、このTaklong島周辺の2ヶ所で貝類などの生物試料を、流出油が残留しているマングローブ林の中で採取し、石油成分分析のため、日本に持ち帰りました(もちろんフィリピン政府の許可を得ています)。昨年、我々が採取したパナイ島(ギマラス島のすぐ隣の島)の二枚貝から検出された石油成分(多環芳香族炭化水素)の濃度は全て10ppb未満で、非常に低い値でした。今後は、これら値と今回採取した試料の分析結果を比較して、流出油成分がどの程度生物に残留しているのかを明らかにする予定です。
拠点大学交流セミナーの期間中、UPVのスタッフから以下のような種々の質問を受けました。

などなどです。我々の研究室のスタッフは、中近東の湾岸戦争による原油流出、ナホトカ号重油流出、ダイアモンドグレース号原油流出などの調査経験をもっていることから、今後も現地のUPVスタッフと協力して今回の油流出の環境影響調査を実施していく予定です。

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