学部長からのメッセージ

鹿児島大学水産学部のwebサイトを御覧いただき、ありがとうございます。本学部は、明治43年に開校した鹿児島県立商船水産学校から続く、伝統ある学部です。国立大学の水産学部は、現在3つしかありません。本学部は、温帯から亜熱帯にかけて南北600kmの広がりを持つ鹿児島県をキャンパスにしており、桜島のふもとにある錦江湾や、太平洋・東シナ海と隣接し、魅力的なフィールドに恵まれています。鹿児島は、ブリ・カンパチ・ウナギの養殖生産量や、かつお節生産量および、バショウカジキ漁獲量が日本一の水産県であり、県庁や地元業者と連携した研究も盛んです。

本学部では、「就職に強く学生に親切な水産学部」をモットーに、卒業後の職業生活に関する満足を高める為の、カリキュラム形成を図っています。水産学の基本は、

「海洋」を知る:人間の関与の有る無しにかかわらず、海況と生物の関係を解明する。

「漁場」を拓く:養殖や漁獲の技術開発で、有用動植物を持続的に効率よく生産する。

「食卓」を彩る:水産物の価値を高める高鮮度保持・加工や、創薬・健康科学に挑む。

という、水産業の流れにそったプロセスを理解することから始まります。それらに加えて

「生産と消費」を繋ぐ:漁村、流通、食生活、水産行政等の、社会的課題を解決する。

「水域の環境」を守る:人間活動に伴う汚染のメカニズムを解明し環境修復を目指す。

事も重要であり、海洋・漁場・食卓すべてに目配りした総合的検討が必要です。

入試では、

①の水圏科学領域(海流や水棲生物及び生態系に関心がある人向け)

②の水産資源科学領域(有用生物の飼育や、釣り等の漁獲技術に関心がある人向け)

③の食品生命科学領域(応用生物化学による健康科学や水産食品製品開発に関心がある人向け)

に分けて募集を行いますが、入学後の1年間は領域にかかわらず、水産学科学生として

④の水産経済学(水産物流通や水産政策及び水産業の経営に関心がある人向け)

⑤の水圏環境保全学(赤潮や海洋微生物及び環境汚染物質に関心がある人向け)

等についても幅広く学びます。その後、上記5つの分野(水圏科学、水産資源科学、食品生命科学、水産経済学、水圏環境保全学)に分かれて各分野が定めた人材養成目標に従い、卒業生・企業アンケート等のデータに基づいたカリキュラムで、各分野に必要な事項を深掘りして濃密に教育していきます。また、キャリア形成に役立つ能力養成や資格取得を目指す教育プログラムも充実しています。例年、卒業生のうち40人ほどが進学し、100人ほどが各自の希望に応じて就職しています。希望者全員が就職出来る年もあり、特に食品関連企業には毎年就職希望者のうち半数程度の学生が就職しています。

本学部は、鹿児島大学の9学部の中で、最も鹿児島県外出身学生が多く、多様性豊かな学部です。入学前には一部、寂しさや不安を感じる受験生もいますが、入学直後に行う1泊2日の乗船実習で同級生と寝食を共にすることにより、新たな友達がたくさん出来て、鹿児島は第二の故郷と感じる学生も多いです。また、研究テーマも多様であり、海流と気候の関係魚やエビの新種発見光による魚の性転換水生生物がもつ毒と薬漁業法改正案の政策評価環境汚染物質の評価、等の興味深い研究成果が報告されています。教育研究ではフィールドでの調査実験を重視しており、練習船によるマイクロプラスチック等の漂流・海底ゴミ実態調査や、錦江湾ステーション・東町ステーションでの養殖現場における環境保全研究等が盛んです。一方、下荒田キャンパスでは、留学生、海外公務員の研修生、国際連携による研究科プログラム履修学生等の外国人が多い一方で、海外ボランティアや留学を行う日本人学生も多いなどグローバル化が進んでいます。特に、仕事で使える英語によるコミュニケーションを強化するため、実用英語を学部の専門科目で用意するなど、サポート体制も充実しています。また、農学部と連携した、国際食料資源学特別コースによる学部教育や、修士課程の農林水産学研究科及び博士課程の連合農学研究科による大学院教育も用意しています。

世界では30億人以上が、海洋と沿岸の生物多様性を頼りに生計を立てています。国連が2016年1月から始めた17の持続可能な開発目標(SDGs)には「目標14::海の豊かさを守ろう」が入っており、環境、食料、健康、雇用の各側面から水産学が世界的に重要視されています。本学部は、上記5つの分野と国際食料資源学のいずれかに関心を持つ受験生の入学を歓迎します。また、本学部は、地域貢献活動産学官連携シーズの発掘共同研究も盛んです。地域の皆様や、産業界・行政機関及び公益団体等の皆様におかれましては、引き続き鹿児島大学水産学部をご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

(2019年4月)

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